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金融機関の種類と賢い使い分け方

金融機関の種類と賢い使い分け方

目次

金融機関は使い分けで成果が変わる

中小企業が融資を利用する際、どの金融機関を選ぶか、どのような種類の金融機関を活用するかで、借入条件、返済期間、金利、信用度などが大きく変わります。ただ「近くの銀行」「知っている金融機関」だけを選ぶのでは、見逃す有利な選択肢があるかもしれません。添付の画像にもあるように、政府系金融機関、商工中金、信用金庫、地方銀行、都市銀行など、金融機関にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴と用途があります。
本記事では「金融機関の種類とは何か」「それぞれの特徴と活用法」「目的別の使い分け方」「金融機関に信用してもらうために何が求められるか」などを、図解・事例も交えて解説します。これを読めば、融資申請時にどの窓口に行くべきか、どう交渉するかの判断がしやすくなるはずです。

金融機関の種類とは?

金融機関を大別すると、以下のようなカテゴリーに分けられます。

比較軸都市銀行地方銀行信用金庫・信用組合政府系金融機関商工中金
金利水準低め低めやや高め中程度低金利
商品種類多い多め少なめ特定目的中心少数精鋭
情報提供力高い普通低め限定的高め
審査の柔軟性低め普通高め低め(政策準拠)中程度
融資基準実績重視実績重視地域密着・柔軟創業・成長支援政策準拠
小口対応難しい難しめききやすい基本大口一部対応

上記金融機関一覧表の活用シーンは以下の通りです。
融資先の比較検討
・創業期や設備投資時の金融機関選定
・中小企業経営者の戦略的金融活用

政府系金融機関の特徴と使い方

① 定義と代表機関

政府系金融機関とは、政府出資または公的な根拠を持つ法人として設立された金融機関で、政策目的の融資を中心に行います。添付画像では以下の機関が例示されています:

政府系金融機関は小規模企業や創業期企業への支援を政策目的として行うため、比較的審査が柔軟、支援内容が手厚いというメリットがあります

② メリット

  • 利率が比較的低いことが多い
  • 保証人・担保の条件が緩い場合がある
  • 創業期や小規模事業者でも相談窓口が整備されている
  • 無担保・無保証の一定枠の融資制度を持っていることがある

③デメリット

  • 融資までの手続きが長くなることがある
  • 申請書類が多い・提出証明が厳しい場合がある
  • 審査基準が一定の政策要件を含むことがあり、事業内容が政策対象外だと得られないものもある

④活用のポイント

創業して間もない、あるいは貸出審査で自己資本比率や信用履歴が薄いと感じる企業にとって、政府系金融機関は最初の選択肢として非常に重要です。政策公庫であれば「創業者資金」「国民生活事業」「中小企業事業」などの窓口があり、比較的小規模な融資も行っています。政策目的・補助金との併用なども視野に入れると良いでしょう。

民間金融機関の特徴と使い方

民間金融機関には、商工中金・信用金庫・信用組合・地方銀行・メガバンクなどが含まれます。以下、それぞれの特徴と使いどころを説明します。

● 商工中金(商工組合中央金庫)

商工中金は政府と民間の共同出資で設立された株式会社であり、民間銀行と同じ金融業務を行いながら、小規模企業・中小企業の融資に対して比較的手厚い支援が可能です。添付画像にもあるとおり、商工中金は貸出金利が比較的低く、コスト競争力のある選択肢として評価されることが多いです。

● 信用金庫・信用組合

地域密着型の金融機関で、会員(組合員)による店舗・顧客基盤がローカルであるという特徴があります。融資対象地域が限定されていたり、取引先紹介が限定的であったりしますが、地元密着で柔軟な対応が期待できます。従業員数や資本金に一定の制限があるケースが多く、大きな融資には対応が難しいことがあります。

地域のための金融機関という点では「地方銀行」と同じですが、信用金庫・信用組合はさらに地域のエリアが狭く、まさに地元密着の商売という点での特徴があります。また、都市銀行・地方銀行が株式会社形態の営利法人であるのに対し、信用金庫・信用組合は地域の会社や住民を会員・組合員として、その出資により組織される非営利法人という点での違いがあります。

● 地方銀行・第二地方銀行

文字通り、地方(地域)の会社や住民のための銀行です。地域に根差した商売が基本ではありますが、近年、新規顧客を求めて他県にまで進出する例は少なくありません。「地方銀行」は県庁所在地など拠点を持つ銀行、「第二地方銀行」はさらに地理的網の限定された範囲で営業しているものを指します。地方銀行・第二地方銀行は中小企業の資金需要に応じたサービスを提供しており、支店・営業担当が地元企業に近いため相談しやすいというメリットがあります。

厳密には、第一地方銀行と第二地方銀行とに分かれますが、総じて「第一」の方が(第二よりも)歴史が深く、規模が大きいという特徴があります。

● メガバンク(都市銀行)

都市銀行とは、都市部に本支店を構える大規模な金融機関を言います。具体的には、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行です。基本的には大企業を相手に商売を行う銀行であり、プロパー融資を期待してお付き合いをするには、相応の事業規模(目安は年商で10億円以上)と強い財務基盤が要求されます。

プロパー融資とは
公的機関の信用保証協会による保証付きの融資に対し、各金融機関が単独で行う融資をプロパー融資と呼びます。
融資先が返済不能時に信用保証協会が肩代わりしてくれる分、金融機関としては回収不能リスクが軽減し、融資をしやすいのが保証協会の保証付き融資です。
一方で、プロパー融資は金融機関自身が全ての回収不能リスクを負うため、融資にはより慎重な姿勢となります。

全国的・国際的なネットワークを持つ大規模銀行です。融資額が大きい案件や国際取引、信用力の高い企業にとって選択肢として有力です。大規模融資、設備投資、高額運転資金などで利用可能ですが、審査が厳しく、手続きのドキュメントが多いことが一般的です。

融資目的別:どの金融機関を使うべきか

どの金融機関に相談すべきかは「融資の目的」によって変わります。以下に代表的な目的別に適切な金融機関の使い分けを提案します。

融資目的相応しい金融機関選ぶ理由
創業資金・小規模事業開始政府系金融機関・政策公庫創業支援枠が整っており、自己資本が少なくても利用しやすい
運転資金・売掛金の回収ズレ対応信用金庫・地方銀行ローカルな取引量を把握しており、地域の事業に対して理解が深い
設備投資・固定資産取得メガバンク/政府系金融機関/商工中金大きな金額を長期間で貸せる力がある
大規模案件・企業再編・国際取引メガバンク信用力・ネットワーク・取引インフラが充実している
突発的な支払い・季節性のピーク対応地方銀行・信用金庫手続きが比較的簡便で、柔軟な対応が期待できる

銀行から見た「信頼できる会社」とは?

  • 財務諸表が整理されており、決算書・試算表・資金繰り表などが最新・正確であること
  • 利益率・キャッシュフローの安定性、過去の業績推移が良好であること
  • 見積書・仕様書など投資や支出の根拠資料がそろっており、説明可能なこと
  • 借入金の過去の返済履歴が良く、債務超過や延滞などの問題がないこと
  • 自己資本が一定程度あり、自己資金を投入していること(借入だけで賄おうとしない姿勢)
  • 担保提供が可能・保証人の用意があること、あるいは信用保証協会を活用すること

金融機関を選ぶ際のチェックリスト

  • 利率と手数料の総コスト
  • 融資可能額の上限
  • 融資までの手続き期間(申込から実行まで)
  • 必要書類と証明資料の種類
  • 自己資本比率などの条件の有無
  • 担保・保証人条件の有無
  • 融資後のフォローアップ(報告義務・モニタリング)
  • 信用保証協会の利用可否
  • 地元での関係性・担当者の対応力
信用と情報の積み重ねがカギ

金融機関との融資取引は、一度の申請で完結するものではなく、信用と実績の積み重ねが次の融資・条件改善につながります。自社の資金ニーズに応じて最も適切な金融機関を選び、申請書類・見積・計画を整備しておくことが、より良い条件での融資を引き出す鍵です。

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