売上はあるのに資金繰りが苦しい?その原因とキャッシュフロー改善の考え方

売上はあるのに資金繰りが苦しい?その原因とキャッシュフロー改善の考え方

2026年6月7日公開

売上はあるのに資金繰りが苦しい中小企業へ。利益と現金がズレる理由、売掛金・在庫・借入返済でお金が残らない原因、キャッシュフロー改善の考え方を解説。売掛金の入金待ちで資金が足りない場合の対応策も紹介します。

「決算書を見ると、確かに利益は出ている。税理士からも『今年は儲かりましたね』と言われる。しかし、なぜか手元の預金通帳の残高は一向に増えないどころか、むしろ減っている気がする…」これは、多くの経営者が一度は経験する、深刻な悩みではないでしょうか。

会計上の「利益」と、会社の金庫にある「現金(キャッシュ)」は、必ずしも連動しません。この2つの数字の間に生じるギャップの正体を理解していないと、たとえ帳簿上は黒字であっても、資金繰りが悪化し、最悪の場合「黒字倒産」という事態に陥りかねません。

なぜ、利益が出ているのにお金は残らないのか。その原因は、決算書、特に「貸借対照表(B/S)」を読み解くことで、すべて明らかになります。

この記事では、まず会計上の利益とキャッシュフローがズレる根本的な理由を解説します。その上で、あなたの会社のお金をじわじわと蝕んでいる、8つの具体的な原因を、貸借対照表のどこを見ればわかるのか、という視点から詳しくご紹介していきます。

1.利益とキャッシュが一致しない、根本的な理由

損益計算書(P/L)に計上される「利益」は、あくまで一定期間(1事業年度)における、会計上の収益から費用を差し引いた「成績」です。一方、会社が実際に事業を継続していくために必要なのは、日々の支払いを賄うための「現金(キャッシュ)」です。

この2つがズレる理由は、会計ルール上、お金の出入りがあったタイミングと、収益・費用として計上するタイミングが、必ずしも一致しないからです。このズレの正体を突き止める鍵となるのが、「貸借対照表(B/S)」です。貸借対照表は、会社の財産状況を「資産」「負債」「純資産」の3つの要素で示したものであり、会社のお金が「何に形を変えているか」を教えてくれます。

2.お金が残らない原因は「貸借対照表」にあり

利益が出ているのにお金がない場合、その原因は、以下の8つの項目のいずれか、あるいは複数に当てはまることがほとんどです。これらは全て、貸借対照表の動きを見ることで把握できます。

【資産の増加】によるキャッシュの減少

資産が増えることは、一見すると良いことのように思えます。しかし、現預金以外の資産が増加するということは、その分、現金が他のものに形を変えて、会社から出て行っていることを意味します。

①売掛金の増加

商品を販売し、売上は計上されているものの、その代金がまだ入金されていない状態が「売掛金」です。損益計算書上は利益が出ていても、売掛金が増え続けている場合、現金は回収できておらず、手元のお金は増えません。

売掛金はあるのに、入金日まで資金が足りない場合は、売掛金を早く現金化できるか確認しておくことも選択肢です。「ファクタリングのトライ」では法人向けに請求書・売掛金の買取サービスを案内しています。ファクタリングのTRYの料金と対応範囲を確認する

②在庫の増加

将来の販売に備えて、商品を仕入れたり、製品を製造したりすると、「棚卸資産(在庫)」が増加します。在庫は、販売されて初めて売上原価(費用)となるため、売れ残っている在庫は、会計上は資産として扱われます。しかし、仕入れ代金はすでに支払っているため、在庫が増えれば増えるほど、現金は減少していきます。

③前払費用の増加

来期以降に受けるサービスの対価(例えば、1年分の家賃や保険料など)を、当期中に前払いした場合、その支払額は「前払費用」として資産に計上されます。これも、現金は先に出て行っているのに、費用計上は翌期以降になるため、利益とキャッシュのズレを生む原因となります。

④減価償却資産(固定資産)の増加

車や機械、高額なPCなどを購入した場合、その購入費用は、一度に経費にはならず、「車両運搬具」や「機械装置」といった固定資産として資産計上されます。例えば、600万円の車を現金一括で購入した場合、手元の現金は600万円減少しますが、その年に経費として計上できるのは、減価償却費である100万円(耐用年数6年の場合)だけです。差額の500万円分、利益とキャッシュに大きなギャップが生じます。

⑤投資有価証券や保険積立金の増加

事業とは直接関係のない、株式や投資信託(投資有価証券)、あるいは貯蓄性のある生命保険(保険積立金)などを購入した場合も、同様です。これらは経費ではなく、資産への投資です。現金を、他の形の資産に振り替えただけなので、利益は減りませんが、当然、手元の現金は減少します。

⑥敷金・保証金の支払い

事務所や店舗を借りる際に支払う敷金や保証金は、将来返還される可能性があるため、経費ではなく「差入保証金」として資産に計上されます。これも、多額の現金支出を伴いますが、利益には影響しません。

⑦役員貸付金の増加

社長個人のプライベートな支出を会社の資金で行った場合など、「役員貸付金」が発生すると、会社から現金が流出します。これは経費ではなく、社長への「貸付」という資産であるため、利益は減りませんが、会社のお金は確実に減っていきます。

【負債の減少】によるキャッシュの減少

意外に思われるかもしれませんが、負債、つまり「借金」が減ることも、手元の現金を減少させる大きな要因です。

⑧借入金や買掛金・未払金の返済

銀行からの借入金の返済(元本部分)や、過去の仕入れ代金の未払い分(買掛金)、経費の未払い分(未払金)を支払うと、当然ながら手元の現金は減少します。しかし、これらの支払いは、過去に発生した負債を精算しているだけであり、当期の費用にはなりません(借入金の利息部分は費用になります)。そのため、損益計算書上の利益とは全く関係なく、現金だけが減少していくのです。

【図表】利益とキャッシュの増減要因(貸借対照表)

3.利益とキャッシュ、両方を改善するための考え方

利益は出ているのに、お金が残らない。この問題の根本原因は、貸借対照表を見れば、必ず特定できます。原因が分かれば、対策を打つことが可能です。

資産と負債のバランスを見直す

もし、売掛金や在庫が増え続けているのであれば、回収サイトの見直しや、在庫管理の徹底が必要です。不要な固定資産があれば、売却して現金化することも検討すべきでしょう。そして、最も重要なのが「借入金」に対する考え方です。

借入金を「武器」と捉える

多くの中小企業経営者は、借入金を「返すべき負債」と捉え、できるだけ早く残高を減らそうと努力します。しかし、借入金の返済は、手元の現金を確実に減少させ、資金繰りを圧迫します。

事業を継続・成長させていく限りにおいて、借入金は、むしろ事業を成長させるための「武器」と捉えるべきです。手元の現金が減ってきたら、新たな借入や借り換えによって、負債を増やし、資産である現金を増やす。その資金を、さらなる事業成長への投資に回していく。このサイクルこそが、会社の成長を加速させるのです。

究極の目標は「キャッシュフロー経営」

損益計算書上の利益だけを追いかけるのではなく、常に貸借対照表を意識し、会社にどれだけの現金が残り、それがどのように増減しているのか、という「キャッシュフロー」を管理すること。これが、利益と現金のギャップに悩まされることなく、持続的に会社を成長させていくための、最も重要な経営管理手法です。

ファクタリングを使うべきケース・慎重に考えるべきケース

検討しやすいケース

ファクタリングを検討しやすいのは、次のような場合です。

  • 売掛金がある
  • 入金日まで一時的に資金が足りない
  • 仕入れ・外注費・人件費の支払いが先に来る
  • 銀行融資の審査を待つ時間がない
  • 取引先からの入金サイトが長い
  • 売掛金の入金予定が比較的はっきりしている

慎重に考えるべきケース

一方で、次のような場合は慎重に考える必要があります。

  • 売掛金がない
  • 毎月ファクタリングを使わないと資金が回らない
  • 手数料を払うと翌月以降の資金繰りがさらに苦しくなる
  • 契約内容を十分に確認できていない
  • 慢性的に赤字が続いている
  • 借入返済や固定費が根本原因になっている

ファクタリングは、資金繰り改善の選択肢のひとつです。しかし、根本的な利益不足や固定費過多を解決するものではありません。


まとめ:利益ではなく「現金の動き」を見れば、資金繰りの原因は見えてくる

売上はあるのに資金繰りが苦しい場合、まず確認すべきなのは利益ではなく現金の動きです。

特に、次の8つを確認してください。

  1. 売掛金が増えていないか
  2. 在庫が増えていないか
  3. 設備投資で現金が減っていないか
  4. 借入返済が重くないか
  5. 税金・社会保険料の支払いが重なっていないか
  6. 仕入れ・外注費の支払いが先に来ていないか
  7. 役員貸付金が増えていないか
  8. 資金繰り表を作っているか

この中でも、売掛金が増えている会社は、入金待ちが資金繰りを圧迫している可能性があります。

売掛金があり、入金日までの一時的な資金不足であれば、ファクタリングを比較することも選択肢になります。

ただし、ファクタリングは手数料や契約内容の確認が重要です。高額な手数料や実質的な貸付に近い契約には注意し、必要に応じて税理士・弁護士・金融機関などに相談しましょう。

売掛金はあるのに、入金日まで資金が足りない。そんな場合は、まず自社の請求書が資金化の対象になるか確認してみましょう。

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FAQ

Q1. 売上はあるのに資金繰りが苦しいのはなぜですか?

売上があっても、入金がまだであれば現金は増えません。売掛金、在庫、設備投資、借入返済、税金・社会保険料などに現金が使われていると、利益が出ていても資金繰りが苦しくなることがあります。

Q2. 利益と現金は何が違いますか?

利益は会計上の収益から費用を引いたものです。一方、現金は実際に会社の口座や手元にあるお金です。売上を計上していても、まだ入金されていなければ現金は増えません。

Q3. 売掛金が多い会社はなぜ資金繰りが苦しくなりますか?

売掛金は、まだ入金されていないお金です。売上は立っていても、入金日まで現金として使えません。その間に仕入れ・外注費・人件費・税金などの支払いが来ると、資金不足になりやすくなります。

Q4. 売掛金を早く現金化する方法はありますか?

通常回収を優先することが基本です。ただし、入金日までの一時的な資金不足であれば、売掛金をファクタリング会社に譲渡して早期現金化する方法を検討できる場合があります。手数料や契約内容の確認が必要です。

Q5. 株式会社No.1 法人向けファクタリングはどんな会社に向いていますか?

法人として売掛金を持っており、入金日までの一時的な資金不足を補いたい会社に向いている可能性があります。公式ページでは、買取手数料0.5%〜15%、最短30分での振込、オンライン契約可能などが案内されています。


注意書き

本記事は、中小企業の資金繰り改善・キャッシュフロー改善・売掛金活用に関する一般的な情報提供を目的としています。法律、税務、金融、補助金、労務等に関する個別判断を行うものではありません。

ファクタリング、融資、返済条件の見直し、税金・社会保険料の支払いなどは、会社の状況、契約内容、審査結果、制度要件によって対応が異なります。実際に契約・申込・相談を行う場合は、各サービスの公式情報、契約書、手数料、償還請求権の有無、買戻し義務の有無、売掛先への通知有無、債権譲渡登記の有無、追加費用などを確認し、必要に応じて税理士、弁護士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、金融機関、公的相談窓口等へ相談してください。